本当に「遅いより早い方がいい」?
結論は早く,先に
現在,WEBの記事などの書き方については「結論を最初に」「文章は短く」ということが鉄則になっています。
そして,検索をした人の疑問に早く答えてあげることが良しとされます。
これはあくまで何か具体的なことを知りたくて,調べていてWEBを読んでいるときのことです。
忍耐力も大事
実際,なんでもすぐに手に入り,私たちの忍耐力はどんどん落ちていますが,生きていくには忍耐力は不可欠です。
すべてが思い通りになるということはありえないからです。
精神分析は時代に逆行?
たとえば,精神分析が提供する方法はこれとは真逆のアプローチです。
セラピストがクライエントさんにすぐに答えを返すということは基本的にありません。「あなたはどう思うのか」「どう考えているのか」を一緒に探していきます。
精神分析ではどうしてすぐに答えをもらえないのか。
簡単に答えが出せるようなことであれば,あなたもわざわざお金を出して専門家を訪れる必要はないでしょう。
「こうしたらどうか」「ああしたらどうか」と言われて,「あー,確かに。少しやってみます」と解決するくらいのことなら,カウンセリングを受けてみようと思うほど,困ってはいないのではないでしょうか。
それくらいで解決するようなことなら,自力で,または周りの人に相談して既に解決していると思います。
頭では分かっているけど,どうにもならないから困っているんだ,だからどうしたらいいか教えてほしいんだ!ということだと思います。
頭でわかっているけれど,うまくいかないんだ,という状況に陥っている場合には,自分で「考える力」が必要になってくるのです。
その力をつけるには,ゆっくり,時間をかけていくことが必要になるのです。
生き方について考えるには時間がかかる
なんでもWEBに文字を打ち込めば答えが簡単に得られる時代です。
それでも,あなたがどう生きていくか,といった哲学的な悩みについて,誰にでも当てはまる「正解」はないのです。
「早く…」では得られないものがあるということ,生きることの深みを知ることができるのが精神分析的心理療法だと思います。