カウンセリングにおける対等な関係ーークライエントとセラピストの関係

ここでは,私が臨床で大切にしたいと思っていること,「対等な関係」というものについて書いてみます。

クライエントとカウンセラーの関係とは

なんらかの悩みを抱えてカウンセリングにやってくる人たちは,当然お金を払って専門家のところにやってくるわけですから,知恵を借りたいという思いの方が多いと思います。そうすると,どうしても専門家は「先生」となりがちで,そこに上下関係ができてしまいがちです。

共に考える仲間

あくまで私たちセラピストはクライエントの方々と「共に考える仲間」でありたいと思っています。勿論,ときには心の専門家として,また客観的視点で,自分では見えていなかったこと,気づいていなかったことをお伝えして,それが役に立つこともあります。
ですが,それは割合としては少ないのです。したがって,むしろセラピストは「先生」ではなく,ひとりでは抱えきれない難問に共にチャレンジしてくれる同志であるといった方が実態に近いように思います。

知識の獲得ではなく体験による変化

とりわけ,私が実践している精神分析的心理療法というものはクライエントの皆様にとって,知識獲得的側面よりも,体験による自分の心の変化が期待されるような療法です。精神分析的心理療法においては,共に人生について考える作業を共に進めていくことで,「対等な関係」のなかで自分という存在や,自分の心が大切に扱われるという体験をしていただき,自分の人生を生きられる強さを獲得していくものとお考えいただくと良いかもしれません。