自己愛憤怒とは|自己愛性パーソナリティ障害の過剰な怒りの正体と対処法
とんでもなく人を怒らせてしまったことはありませんか?「そこまでひどいことをしたわけではないのに,相手がとんでもなく怒っている」 このような経験はありませんか?
相手の怒りが異常に激しい場合,それは単なる感情の爆発ではなく,自己愛憤怒(Narcissistic rage) という心理的な反応かもしれません。今回は,自己愛憤怒が生じる理由と,その対処法について詳しく解説します。
自己愛憤怒とは
自己愛憤怒(じこあいふんぬ/Narcissistic rage)とは,自己愛性パーソナリティ障害を持つ人が,自分の自尊心を傷つけられたと感じたときに表わす激しい怒りのことです。この怒りは,
- 非常に攻撃的
- 陰湿で長引くことがある
- 周囲に強い恐怖感を与える
といった特徴があります。
自己愛性パーソナリティ障害の心の世界
どうしてこのような激しい怒りになってしまうのかというとなってしまうのかということを考えるにあたっては,自己愛性パーソナリティ障害の人の心の状態が状態を知ってみることが大事です。自己愛性パーソナリティ障害の人は,次のような特徴を持っています。
- 極端にプライドが高い
- 自分は特別で優れていると考えることで,自分のプライドを守ろうとしている
- 他者の気持ちを考えず,自己中心的
しかし,その根底には「本当の自分は取るに足らない存在かもしれない」「ちっぽけで哀れな存在なんだ」という恐れがあります。しかし,これらは無意識の中にある思いなので,当の本人はそれに気が付いていません。そのため,自尊心が傷つくような出来事があると,強烈な怒りを爆発させるのです。
自己愛性パーソナリティ障害の人にとっての他者とは?
彼らにとって,周囲の人は「自分を引き立てる黒子のような,下々の存在」に過ぎません。そのため,
- 自分の自尊心を満たしてくれるうちは好意的
- 少しでも批判されたり,意見されたりすると激怒する
といった反応を示します。
例えば,自分より下の者が何か進言してきたり,反発でもしてこようものなら,
- 暴言を吐く
- メールやSNSで攻撃してくる
- 脅しのような言動をする
といった行動に出ることがあります。こうして,私たちはとんでもない激しい怒り,自己愛憤怒を目にすることになるのです。
自己愛憤怒における怒りの激しさ
十分に優秀で権力があり,地位のある役職についている人であっても,自己愛性パーソナリティ障害に属するようなパーソナリティを持ち合わせている人は大勢います。そして,自己愛憤怒の特徴のひとつにこちらがやってしまったことと,相手の怒りのバランスが非常に悪いということが挙げられます。彼らの地雷,逆鱗に触れてしまうと,普段は冷静沈着,人の好い感じの人であっても誰が見てもパワハラ認定をされそうな言葉を投げつけてきたりもするのです。相手は傷ついているため相手の怒りも凄まじいのです。
自己愛憤怒への対処法,謝罪のリスク
自己愛憤怒に遭うと「自分にも悪かったところがある,謝らなければならない」と思う人も多いでしょう。しかしながら,気を付けなければならないポイントがあるのです。
1. 謝罪には慎重になる
自己愛憤怒を持つ人に謝罪をすると,次のようなリスクがあります。
- さらに怒りが増す
- こちらを悪者として扱い,罪悪感を煽る
- 恐怖を与えて委縮させ,精神的に容赦なく追い詰めてくる
- 過去のことを蒸し返され,責められ続ける
彼らにとって謝罪は「自分が正しく,相手が間違っている」という確信につながり,支配の手段になり得ます。
2. 状況から離れる
一度自己愛憤怒が発動すると,冷静な話し合いは難しくなります。まともな話ができる状態ではありません。したがって,
- 物理的に距離を取る
- 話し合う際は第三者を交える
ことが有効です。
3. 自分を責めすぎない
あなたが相手の怒りの対象になっていても,それが本当にあなたの責任とは限りません。たとえば,
- あなたがガラスの花瓶を割ってしまった(過失)
- 片付けようとして手を怪我した(避けられないリスク)
確かに,適切な対応(道具を使って片付ける)をすれば防げたかもしれませんが,割れたガラスに触れば誰でも怪我をします。それは,あなたの責任ではありません。
最後に
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々の反応は,その人たちの内面的な問題から生じています。あなたができるのは,自分自身を守るために冷静に行動し,ひとりで抱え込まず,誰からの手を借りて危険な状況からできるだけ早く離れ,安全な方法で対応することです。最終的には,自分の安全と精神的な健康を最優先に考えて,安心できる環境を整えていきましょう。
