Kleinによる精神分析的態度,自分を知ること,自己内省の重要性について――主にReading Kleinより

Reading Kleinを読んで,精神分析的態度や自分を知ること,自己内省の重要性について書いてあって,ちょっとメモしておきたい部分の覚書です。

分析の目指すところ

・子どもへの精神分析的態度には,認知を発達させることが含まれているべきである,とクラインは確信していた。(Rustin & Rustin, p.51)

・情動の擾乱が余儀なくされるにもかかわらず,幼い子どもたちは「人生の事実」と通常私たちが呼ぶ事柄を理解しようと知的に苦闘している。フロイトとクラインのふたりともが印象付けられたのは,その苦闘を真摯に受け止めるのがいかに重要かということだった。(Rustin & Rustin, p.51)

・精神分析の一つの目的は,人や対象に対するそのような関係(たとえば羨望的あるいは償い的な関係)がいかにして生じるのか,そうしてそれらはある特定のパーソナリティ構造体の中でどのようにまとまりをなしているのかに到達することである。(Rustin & Rustin, p.232)

・クライン派の文化の理論にとって決定的に重要なのは,抑うつポジションで達成される心の統合と象徴形成や象徴能力との結びつきである。(Rustin & Rustin, p.243)

・分析によって迫害的不安と抑うつ的不安を徹底的に吟味することで両者を十分に減じ,自我の深みと強さを増すこと(Klein,「精神分析の終結のための基準について」著作集4-p.59)

自己理解,羨望の理解

・『羨望と感謝』(1957)の中で彼女は,破壊的な羨望の感情は理解を通して改善しコントロールできるようになると強調しいており,こうした洞察によって彼女の基本的に希望的な分析的態度はより確かなものとなっている。(Rustin & Rustin, p.166)

・クラインの見方からゆくと,人間は意識されていない心の状態について理解することによって,不安や強迫に支配されずに生きられるようになるばかりか,他者のニーズをより顧慮するようになり,より他者に対する配慮や責任をもってふるまえるようになるといえる。(Rustin & Rustin, p.209)

・彼女(クライン)の見解では,情緒的発達や道徳的発達は,互いに異なり葛藤しあっている欲望や信念を自己自身が理解することにかかっているし,またそうしたことを自己が内省できる能力にかかっているのである。(Rustin & Rustin, p.222)  →つまり,自己理解によって情緒的発達や道徳的発達は促進しうる

精神分析のできること

・もし分析家を理想化に基づくのでなしによい対象としてとり入れられたなら,それはよい対象がほとんど不在だったところによい対象をもたらす効果を,ある程度はもたらす。また投影が弱まり,その結果憤りが軽減するとともに苦痛に耐える力が強まると,たとえ幼いころの環境が非常に好ましくないものだったとしても,患者は過去にそれなりの特色を見出し,楽しかった記憶を再び生きることができるようになる(Klein,『羨望と感謝』p.88.89)

・成功裡に終わる精神分析的心理療法に伴うと期待されている諸変化――つまり妄想分裂的スプリッティングの軽減や,超自我からの迫害の軽減,抑うつ的な思いやりの増進や,ケアし考えることがどちらも可能な対象との同一化の強化など――は,すべて倫理的感性を構成する要素(Rustin & Rustin, p.228)

・破壊的な側面が何度もスプリットオフされては取り戻される中で,最終的により高度な統合が生じてくる。その結果,責任感はより強くなり,罪悪感と抑うつはより十分に経験されるようになる。このとき自我は強められ,破壊小同音万能感は弱まり羨望も和らいで,スプリッティングの過程の間ずっと抑え込まれていた愛情と感謝の能力が解き放たれる。そのためスプリットオフされていた面はだんだん,より受け入れられやすいものになる。そして患者は自己をスプリットするのではなく,愛する対象への破壊衝動をだんだん抑圧できるようになる。すると分析家への投影(この投影によって分析家は危険な,報復してくる人物に変えられてしまっていたのだが)もまた減って,そうなると今度はまた分析家が,患者をさらなる統合に向かうよう援助しやすくなる。いわば,陰性治療反応が力を失っていく。(Klein, 『羨望と感謝』p.74,75)

最後に…

以上がメモっておきたいところであるのだが・・・。要は羨望という感情はよいものを破壊するという機能を持つ,しかし,それを統制下におけるようになったとき,ひとには感謝の念が生まれ,同時に償いたいという気持ちから,様々な建設的な動きを生み出すことができる,創造へと導かれるのだというところが,私のお気に入りポイント。あとは,なぜに精神分析が治療的であるのかといったところが,おさらいしておきたいポイントである。

羨望は,まとまろうとする力,考える力,思考,誰かと繋がること,様々な繋がりLinkを破壊する。だからこそ,この羨望をうまく制御下におくことが大事なのだよ!ということをKleinは説明している。