頭の中のひとりごとに疲れたとき——考え方を切り替える

一日を振り返ったとき,
「また余計なことを言ってしまった」
「どうせうまくいかない」
「やっぱり自分はダメだ」——そんな言葉が,頭の中を何度も巡ることはないでしょうか。

今回は,そんな「頭の中のひとりごと」に少し別の向きを試してみる練習ができる一冊,『「頭の中のひとりごと」言い換え図鑑』(片田智也・川見敦子 著)を紹介します。

あなたを追い込むひとりごと

本書の著者のひとりは,感情マネージメント協会の片田智也氏。公認心理師として「感情マネージメント」という考え方の普及活動をされている方です。

「はじめに」では,次のことを紹介しています。

  • 私たちは日々,無意識のうちに大量の「ひとりごと」をつぶやきながら過ごしていること——本書によれば「一説によると,1日4〜6万回もの自分との対話が行われている」
  • そのひとりごとがネガティブな内容に偏ると心は重くなってしまうこと
  • 物事そのものは変えられなくても,その捉え方——頭の中の言葉——は選び直すことができること

起きたことは変えられなくても,その捉え方を変えることで,心の状態は大きく変わるということは,私自身が繰り返し触れてきたテーマでもあります。

ネガティブなひとりごとの
パターン

ネガティブなひとりごとには,いくつかのパターンがあります。

  • 自己否定(「どうせ自分なんて」「自分には価値がない」),
  • 自責思考(「なぜあのときああしてしまったのか」「もっとうまくやれたはずなのに」),
  • 最悪のパターンの想定(「どうせうまくいかない」「きっと失敗する」),
  • 他者への不満・批判(「なんで察してくれないの」「あの人はいつもこうだ」),
  • 完璧主義(「完璧でなければ意味がない」「少しでもミスをしたら全部ダメだ」)

——こういったパターンです。
(なぜこういったひとりごとが繰り返されてしまうのか,その根源については別の記事でも触れています。)

これらのひとりごとに共通しているのは,頭の中でどれだけ繰り返しても,事態をよい方向には導かない,ということです。

むしろ,繰り返せば繰り返すほど,心が消耗していく。
そのことに気づいたとき,ではどうすればいいのか——この本は,そこへの一つの答えを提示してくれています。

気軽に,そして深く

この本の構成は,見開き一ページで一つの言い換え例を扱っています。

右側のページには,心が重くなるひとりごとと,すっと軽くなる言い換えが並んで示されています。
「このひとりごと,別の言い方にするとしたら?」——そう問いかけられながら,ちょっと楽しんで考えてみるうちに,思考の癖を切り替える練習が自然にできていく。難しく構えなくていい,そんな感覚で読み進められます。

そして左側のページには,なぜそのひとりごとが浮かんでしまうのか,その背景や気持ちの説明があり,どんなふうに考えると心が軽くなるのか,その理由を心理学的知見も含めて,丁寧にひも解いてくれています。

特にこちらの左側のページには,手に取りやすいカジュアルな装丁から想像する中身からは想像もつかない,人間の心理や対人関係についての深い理解が宿っているので,時間のあるときに,丁寧に染み込ませるように読んでいただきたいと思います。

見開き一ページで,セラピーのミニセッションを一つ受けたような豊かな読後感があります。
一度にたくさん読み進めるよりも,一ページずつ,丁寧に味わうように読んでいただきたい本です。

おわりに

考えてはいるけれど,その方向が少しネガティブに偏っている。

そんなときに,思考の流れをほんの少し変えてあげる。

「どうやって?」

「ああ,そんなときは,こんなふうに考えてみるといいよ」——その方法を,丁寧に優しく教えてくれます。

心が少し軽くなる考え方を読みながら,少しずつ自分のものとして馴染ませていく。
読むセラピー…そんなふうに使っていける一冊として,おすすめしたい本でした。

ネガティブ思考については下記の記事でも触れています。
👉「考えすぎ」ではなく「考え方」が偏っている|本当の問題解決のために

オススメ本

「頭の中のひとりごと」言い換え図鑑』(片田智也・川見敦子 著)。

つい言いがちな「心が重くなるひとりごと」を「すっと軽くなるひとりごと」 に言いかえるパターンを81例,掲載

「ひとりごと」=「ものの見方」を変えれば心はラクになる!

  • 私のせいで機嫌悪いの?  →昨日なにかあったんでしょ
  • あの人は◇◇があっていいな→私には△△があるからいいか
  • なんで察してくれないの? →いわないとわからないよね
(本書の帯・Amazon紹介文より引用)
頭の中のひとりごと

桜心理カウンセリング恵比寿では,精神分析的心理療法によって,ネガティヴに偏りがちな思考はどんな背景から生まれてきたのかを共に考え,その偏りを和らげていくプロセスのお手伝いをしています。