双極性障害と上手に付き合うための“ブレーキ”の習慣

今回は双極性障害や躁鬱傾向のある方が,気を付けておくと良いことについて書いてみました。

双極性障害とは

双極性障害というのは,ごく簡単にお伝えすると,何でもできる気がして,気分が高揚して活動的になって,眠らなくても元気に活動したり,次々にアイデアが浮かんだり,お金をパーっと派手に使ってしまうような躁状態😄と,何があったわけでもないのに,なぜだか気分が落ち込んで無気力になって,いろいろネガティブな考えが浮かんできて眠れなくなったり,または過眠と言って逆に眠りすぎたりするような状態😞が交互に現れてくる精神疾患です。

※双極性障害についてはこちらをご参照ください(国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト:双極性障害)

双極性障害の人がアクセルを多用してしまう理由

躁状態とうつ状態を行ったり来たりすることが分かっている場合,人は,元気な時は,「せっかく元気なんだから」「いつまた落ち込む状態になるか分からないから」と,ついついアクセルを踏みたくなるものです。


気分が高揚し,やる気がみなぎるように感じるので,「今のうちにできることをやっておこう!」と予定を詰め込んでしまうこともあるでしょう。

ブレーキの必要性⚠️

しかし,双極性障害の方や躁鬱傾向のある方にとって,実はもっと大切なのは「ブレーキを踏むこと」なのです。

テンションが上がりすぎる時期がある程度続いた後は,疲れて,その反動で一気に落ち込みます。というのも,躁状態の時には自分の限界を超えて行動してしまい,エネルギーを使い果たしてしまうのです。そうなると,疲れがどっと一気に押し寄せます。高く上がっていれば上がっているほど,ジェットコースターのように,落ちるときはどーんと激しく落ちてしまいます。そうなると,今度はまったく動けなくなり,生活が破綻してしまうこともあるのです。

こうしたサイクルを繰り返すと,仕事や人間関係,健康にも大きな影響を与えてしまいます。
つまり,元気な時に「今のうちに」と頑張りすぎてしまうのは,結果的に自分を追い込むことにつながってしまうのです。そのため,「元気な時にこそ,意識的にブレーキを踏む」ことが重要なのです。

ブレーキを踏むための工夫

では,どうすれば適度にブレーキをかけることができるのでしょうか?

  • 予定を詰め込みすぎない,あまり先の予定を作らない
  • 1日にこなせるタスクの量を制限し,余白を作る
  • 週単位で見て,予定が多すぎないかチェックする
  • 何もしない時間を「無駄な時間」と考えない
  • 休む時間を「休憩」として予定に組み込む
  • 好きなことをしてリラックスする時間を意識的に作る
  • 気持ちが高揚してきたら,自分を客観的に見る
  • 睡眠時間が減っても疲れないときは注意する
  • 「今,自分はアクセルを踏みすぎていないか?」「ブレーキも使っているか」と振り返る
  • 過去のパターンを振り返り,同じ失敗を繰り返さないようにする
  • 周りの人に協力を求める
  • 信頼できる人に「最近ちょっとハイになってる?」とチェックしてもらう
  • カウンセリングや診察を定期的に受ける

まとめ

元気な時こそ,ブレーキを踏むことが大切です。自分の気分の波を理解し,無理をしすぎないように調整することで,落ち込みのリスクを減らすことができます。

「今ならできるから」と無理をするのではなく,「このペースなら長く続けられるかも」と考えることが大事。長い目で見て,安定した生活を送るために,適度なブレーキを心がけましょう。