話すだけでどうして治療になるの?
話したって現実は変わらないでしょ?どうしてそれだけで良くなるの?答えはYesでもあり,Noでもあります。
思いついたことを話すだけでいいです。というのも,心の中のもやもやや,ガサガサ,傷,そうしたものは,まず,言葉にしてあげることで,頭のなかは整理されていきます。もやもやしたまま置いておくのではなく,「もやもやしているんだ」って言ってみること,書いてみることだけでも効果があります。なぜって,「話す」には,「考える」作業が必ずくっついてくるからです。
また,話すと感情が湧いてきます。話しながら,抑え込んでいた,切り離していた感情を体験することで,脳のなかの配線が変わって,出来事に違った意味付けをすることができるようになります。それをひとりではなく,他者と「一緒に」やるということにも意味があるのです。
話すことで思いは相手に伝わりやすくなります。人の心は自分の思いを誰かに届けて,受け取って貰えることで,強くなるのです。そんな風にできているんです。
なので,精神分析的心理療法では,考えて,言葉にして,話して,そしてまた考えるという作業をこつこつと続けます。そうすることで,自分の心の中,自分の身の回りでおきていることが理解できるようになれば,そしたら,だんだんと世界に対処する方法が見えてくるのです。