精神分析的心理療法に向き不向きはありますか?
この心理療法は目に見える具体的な形での成果や即効性を求める方にはあまり向いていません。毎週セッションに通って,頭に浮かんでいること,心に浮かんでいることをただ話すという作業を繰り返すことで,ふと振り返ってみると,なぜか気持ちが楽になっている,前と違ってあまり不安を感じないで暮らせているかも…といった感じで成果を感じるものです。
毎回のセラピーで「いいこと,ためになることを聞いた!」「メモっておこう!」と言ったようなものでもありません。
それでも深いところでの考え方,生き方の変化を促せる療法であることには間違いありません。具体的な助言でどうにかなるような問題であれば,既に周りの意見を聞いたり,自己啓発の本を読んだりして,十分に試されているのではないでしょうか。それではどうにもならない,とお感じの方,ゆっくりな方法ではありますが,試してみてはいかがでしょうか。
自分の弱点や,だめなところについて知ること,そこに向き合うことは辛い場合もあります。しかし,そういう自分の弱さを知ってこそ強くなれるのではないかと思います。短所は長所にもなります。また,短所をあらかじめ知っておくことで,それをうまくカバーしながら,予防しながら生活することは将来の生きやすさにもつながります。
結論としては,精神分析的心理療法には向き不向きはあるとは思いますが,既に行き詰っている状態であれば試してみてもよいのではないかと思います。