「2月病」はなぜ起こるのか―症状と原因,対処法
五月病という言葉はよく聞きますが,実は2月から3月にかけて心の不調を感じる人も少なくありません。
いわゆる「2月病」です。医学的な正式名称ではありませんが,心理的には,この時期に特有の心の揺れとして捉えられる現象があるように思います。
今回は,2月病がなぜ起こるのか,その原因を,いくつかの層に分けて考えてみたいと思います。
2月の停滞感をもたらすもの
まず,2月は季節的にも身体的な負担が大きい時期です。
日照時間はまだ短く,寒さの疲れも蓄積しています。
そして花粉症が始まる人も多く,鼻づまりや目の痒み,それに伴う睡眠の質の低下が,心身の状態に影響を与える影響も小さくはありません。こうした身体的な不調は,それだけで十分,気分を落ち込ませるものです。
特に今年の2月は世界では皆既月食や金環日食といった大きな天体のドラマが続いていました。
日本ではその姿を直接見ることはできませんでしたが,私たちの体や心は,こうした宇宙のリズムにも影響を受けると古来から信じられてもいます。
特に日食や月食は「一度隠れて,再び現れる」というプロセスを象徴します。そのため,普段蓋をしている感情が噴き出したり,過去の記憶が蘇ったりして,精神的なアップダウンを感じるきっかけになる―—そんな風に捉えてみる視点もあります。
また,これ以外にも2月病には心理的なメカニズムも関わっているように思います。
2月病の心理的な原因
①期待の反動
年末年始は,意識していなくても「ここから何か変わる」「新しく始まる」という期待が強くかかる時期です。
新年の目標を立てたり,「今年こそは」という気持ちで何かを始めた人も多いでしょう。
でも2月になると,現実は急には変わらないという事実に直面します。
決意したことが思うほど進んでいない。日常が戻ってきただけ。そんな感覚が,虚しさや疲れとして現れるのかもしれません。
心理学的に言えば,これは希望に投資した心的エネルギーが回収されない状態とも言えます。
特に何か大きく失敗したわけでもないのに,なんとなく気が重い,気分がすぐれない,そんな気持ちになりやすい時期でもあります。
②「まだ」と「もう」の間で
また,2月という時期には,独特のズレがあるように思います。
暦の上では新しい一年が始まったばかりなのに,年度としては終わりに向かっている。
始まりと終わりが同時進行しているような,ねじれた感覚です。
そして,今の環境にまだ居ながら,もう次のことが見えている。
異動や卒業,環境の変化が視野に入ってくる頃でもあります。
まだ実際には起きていないけれど,別れの予感が漂い始める。
そんな宙ぶらりんな中間地帯にいる不安定さも,2月病の一つの特徴かもしれません。
そしてこの時期は,年末年始から1月にかけて,疲れが表に出てくる時期でもあるように思います。
人付き合いや仕事の立て直し,家族行事,気分を上げようとする努力。
そうした緊張が切れて,理由がはっきりしないのに気力が出ない,何をしても満たされない,という感覚が出てくることもあるでしょう。
2月病からのお知らせ💌
2月病は,よく見ると何かが壊れているわけではないように思います。
むしろ,無理をしていたサインや,期待を修正する必要性を知らせてくれているのかもしれません。
「元気が出ない=ダメ」ではなく,立ち止まるための心理的なブレーキとも言えます。
本当に大事なものは何か,
自分は何を求めているのか
―—そんなことを考える余地を,この時期の揺れは与えてくれているのではないでしょうか。
2月病への対処法
していいこと✨
2月病のときにしていいことは,以下のようなものかもしれません。
- 今の感覚を否定せず,少し丁寧に感じてみる
- 無理をせずにゆっくり休む
- 虚しさや気力のなさを,そっとしておく
- 答えを急がず,この時期を通り過ぎるのを待つ
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
しない方がいいこと🚫
逆に,2月病のときにしない方がいいことは,以下のようなものかもしれません。
- 無理に元気を出そうとする
- 大きな決断をする(転職,引っ越し,人間関係の整理など)
- 自分を変えようと無理をする
- 「こんなんじゃダメだ」と自分を責める
- 2月の揺れの中で出した結論を,すぐに実行に移す
いまある状況を無理に変えようせず,そのままにしておくこと,結論を急がないことが大事なときもあります。
おわりに
2月病は,季節的な要因もありますが,年度末という時期特有の心理的なメカニズムも大きく関わっています。
期待の反動や,時間軸のズレ,耐えてきたものが表に出ること
―—そうしたいくつもの層が重なって,この時期の心の揺れが生まれるのかもしれません。
この時期の不安定さを,異常なことだと捉える必要はないように思います。
むしろ,心が何かに気づこうとしている,そのサインなのではないでしょうか。


