今がつらいのは,新たな挑戦の証拠?|我慢か撤退か

「最近つらい,きつい…」と感じるのは,実は成長のサインかもしれません。新しい挑戦や変化の途中にいるからこそ感じる痛みや不安。この記事では,そんな「つらさ」の正体を探り,あなたにとって本当に大切なものを選ぶためのヒントを精神分析理論の視点からお届けします。

苦しさの中にチャンス|なぜつらいと感じるのか

「最近つらいな…」「毎日が大変…」そんな風に感じることはありませんか?

新しい環境,新しい仕事,新しい人間関係…。春には新しい環境に身を投じた人もたくさんおられるのではないでしょうか。そろそろ疲れも出やすい季節です。

つまり,今のあなたは,これまでとは違うステージに進もうとしているからこそ,心も体も負荷を感じているのでしょう。

精神分析,対象関係論から見る「成長の痛み」

🌿メラニー・クラインの視点

メラニー・クラインによれば,人は生涯を通じて「妄想-分裂ポジション」と「抑うつポジション」の間を行き来します。「妄想-分裂ポジション」では,不安から自己を守るために,対象(人や状況)を「良い」と「悪い」に分けて知覚します(いわゆる「白黒思考」ですね)。一方,「抑うつポジション」では,対象が良い面と悪い面を併せ持つこと(たとえば,あの人は怖いときもあるけど,やっさしいときもある)を認識できるようになります。

私たちは新しい環境や挑戦に直面すると,一時的に「妄想-分裂ポジション」に退行することがあります。このポジションでは,迫害不安(自分が傷つけられるのではないかという不安)が強まりやすく,新しい状況を脅威として体験することがあるのです。

🌿ドナルド・ウィニコットの視点

ウィニコットは「抱える環境(holding environment)」の概念を提唱しました。これは心理的な支えとなる環境のことで,幼少期には母親がその役割を果たします。大人になっても,新しい挑戦に立ち向かう時には,自分を支える母親的なホールディング環境,支えが必要なのです。そして,今あなたが感じている「つらさ」は,そうした支えを必要としていることのサインかもしれません。

「つらい」と感じたら,考えるべき3つのポイント

今感じている「きつさ」と向き合うために,以下の3つの質問を自分に投げかけてみましょう:

  1. そのチャレンジは,本当に自分にとって必要か?🔍
    このきつさを乗り越えることで,あなたの人生はどう変わりますか?このチャレンジは自分の価値観や長期的な目標に合致していますか?それとも,他人の期待に応えようとしているだけでしょうか?
  2. 「つらい」のは一時的なものか,長期的に続きそうか?⏱️
    今の苦しさには終わりが見えますか?適応期間を過ぎれば楽になる見込みはありますか?それとも,この状況が永続的に続くと感じていますか?
  3. 頑張った先に,自分の望む未来があるか?🎯
    この道を進み続けることで,あなたが心から望む未来に近づきますか?あるいは,違う道を選んだ方が幸せになれるでしょうか?

これらの問いに「YES」と答えられるなら,もう少し踏ん張ってみる価値があります。逆に,「NO」が多いなら,そのチャレンジは手放すことも選択肢かもしれません。

「頑張らない選択」も,あなたを守る大切な決断

撤退を考えるべきサイン

  • 心が疲れ果ててしまっている 💔
  • ワクワクする気持ちが全くない🔋
  • 未来を想像しても希望が持てない 🌧️
  • 身体的な症状が続いている💊
  • 周囲の人間関係にも悪影響が出始めている👥

こんな状態なら,思い切って撤退するのも勇気ある決断です。

「やめる」ことの精神分析的意義

メラニー・クラインの視点からは,「抑うつポジション」に達することで,物事の複雑さを受け入れ,より成熟した決断ができるようになります。時に「やめる」という選択は,自分の限界を現実的に受け入れ,修復と統合に向かうための健全なステップとなりえます。つまり,諦める,手放すという決断です。

ウィニコットの「ほどよい母親(good enough mother)」の概念も参考になります。完璧を求めるのではなく,「ほどよく」行うことの重要性を説いたこの理論は,私たちの挑戦にも当てはまります。時には「ほどよく」諦めることで,自分自身との健全な関係を保つことができるのです。

▶️世の中には「続ける勇気」もあれば,「手放す勇気」もあります

時には,新たな可能性を見つけるために,今あるものを手放す必要があるのです。あなたの人生を豊かにするのは,意外にも「やめること」かもしれません。

自分の限界を知り,上手に休息する方法

きついと感じたとき,ただ我慢を続けるのではなく,効果的な休息を取り入れることも大切です。

精神分析的な自己ケアウィニコットの視点から

「移行対象」を見つける: ウィニコットは子どもが安心感を得るために使う「移行対象」(例:ぬいぐるみ)の概念を示しました。大人になっても,ストレスを感じる時には自分なりの「移行対象」が役立ちます。

  • お気に入りのカフェでのひととき☕
  • 好きな音楽を聴く時間🎵
  • 心地よい散歩🌳

「支える環境」を整える: ウィニコットの「促進的環境(facilitating environment)」の概念を活かし,自分を支える環境を意識的に作りましょう。

  • 自分を理解してくれる人との関係を大切にする👥
  • 心地よい空間を自宅に作る🏡
  • 小さな成功体験を積み重ねる機会を意識的に作る⭐

成功者たちも経験した「つらい時期」

歴史上の偉人や現代の成功者たちも,「つらい」と感じる時期を乗り越えてきました。

  • トーマス・エジソンは電球を発明する前に1,000回以上の失敗を経験しました
  • J.K.ローリングは『ハリー・ポッター』シリーズを出版する前に12の出版社に断られています
  • スティーブ・ジョブズはAppleから追放された経験があります

彼らに共通するのは,困難な時期をただ耐えるのではなく,そこから学び,次の一歩に活かす姿勢です。

さいごに

「きついな…」と感じるのは,あなたが前に進もうとしている証拠。 でも,その道があなたにとって本当に必要なものかどうかは,一度立ち止まって考える価値があります。

  • 必要なものなら,もう少し頑張ってみる
  • 必要ないものなら,思い切って手放す

自分の心の声に耳を傾けて,あなたにとって最善の選択をしていきましょう。

あなたの人生の主人公はあなた自身です。時には立ち止まり,時には前進し,そして時には方向転換することも大切です。どんな選択をしても,それはあなたの貴重な経験となり,未来の糧となるはずです。