思い出したくないのに,話さなくちゃいけないの?
辛いことや悲しいことを思い出すと,また辛くなるから,悲しくなるから話したくない…という声があります。辛いことや悲しいことがあったばかりでは,言葉にすることも難しいので,話せるようになるまでは少し時間がかかります。
少し時間が経って,血が止まったら,話してみることは大事です。辛い出来事や悲しい出来事が起きた時は,心は応急処置として,心を固くしたり,閉じてしまったりして,うまく感情を処理できていないからです。
折角,少し楽になったのに,話すと辛くなります,悲しくなります。でも,その時の感情をしっかりと体験することが大事なのです。心は筋肉と同じ,動かすことで強くなります。当時の感情を味わうことで,頭の中の配線が変わって,過去の出来事が少し違う色どりで見えてきます。
でも,それをひとりでやるのではなく,それを共に感じてくれるもうひとつのセラピストと共にやってみることで,それを繰り返すことで,見えなかった部分が見えたり,起きていたことを冷静に振り返ることができるようになります。そんな作業をセラピストと共に行うのが精神分析的な心理療法です。